新1年生の憂鬱 入学式での違和感
来週から新しい1年生になる人も多くいると思います。わが子は4年生と2年生に進級するので小学校にもだいぶ慣れてきましたが、新1年生になった時は幼稚園との雰囲気の違いになじむことができないのかもしれないと思ったのが正直なところです。
それは子供だけではなく、親の私がそう感じました。親がなじめない?そんなのどうでもいいだろと思いますが、今でもずっとその思いは消えていません。ちなみにわが子の小学校は駅近で結構な都会にあります。公立です。神奈川県の世帯年収別小学校の学区データで上位にくる小学校です。
まず、最初に違和感を覚えたのは入学式です。2年生が1年生に対していろいろと発表や歌などを歌うのですが、それはもう、軍隊のように完璧なのです。2年生の娘が家で最近その練習をしていたのですが、先生のバチのリズムに合わせてみんなが完璧に口を合わせて「○○小はたのしいよ!給食とってもおいしいよ!」などと言うのです。
入学式に在校生として出られるのは2年生と6年生で、どちらも完璧に式をこなしていきます。
列を乱す生徒を許さない小学校
入学式の時に違和感があったのは2年生や6年生の発表だけではありません。
新1年生についても厳しい対応が求められます。
入学式で少しでも後ろを向いたり、足をぶらぶらしている生徒がいると、先生が横に行って注意をします。そして、列を乱す子がいる場合は話をし始めないのです。
これは教育として間違っていないと思います。また、各小学校の考え方によっても違うのでしょう。
でも、私が感じたのは小学校は「皆と同じ」を重視するところだということです。けして「個性を重んじる」場所ではないということです。
そういえば、自分も公立小学校出身ですが、この「列を乱さない」ということにとても注力していた気がして、思い出すと気分が悪くなります。先生の機嫌をとるために、いつもみんなで同じ意見を言っていました。本当は自分だけ違うと思っても、その発言はなかったことのように取り消されてしまうのです。自分は特別ではなく、工場のラインにのる製品の様だと。すこしでも不具合があったら横にはじかれてしまい、最終商品として出荷されないと恐怖に思っていました。
小学校は昔から変わっていません。大切にすることは「ルールを学ぶ」「規律を守る」「皆と同じことができるようにする」「目立つと怒られる」ということです。授業参観で手を挙げた子が先生にさされると何て言うのか。まず「話してもいいですか?」です。周りの人が「いいですよ」と言わないと発言できません。
規律を守ることは必要ですが、規律が多すぎて、面白い意見も「話してもいいですか」と言っている間に忘れてしまいそうです。
姿勢が悪い表
入学してすぐ、1週間もたたないうちに担任の先生から毎日電話が来るようになりました。担任の先生は26歳の独身男性でこの小学校で働いていて3年目になります。
長男の時の話です。長男は幼稚園のときはほとんど電話をもらったりすることはなかったので、小学校に入学したとたん、急な毎日の電話に私自身が戸惑いました。
大体17時くらいに毎日電話が来て、「○○君ですが(うちの息子)授業中、姿勢が悪いです。ほかの生徒にも悪い影響を与えますので、一番前の席に変更します」と言われました。
他の日には「だんだんと授業中にだらしない姿勢になってますので、姿勢の表を作ります。机の右上に貼りますので、姿勢が良くなると丸を付けてあげます」
ある日には「姿勢で注意すると、すぐに泣きます。男の子なのにすぐ泣くのはみっともないので、泣かないようにしてください」とのこと。
授業参観があり、行ってみると、クラスの他5人くらいの男子生徒にも姿勢表が貼られていました。
この時はうちでもかなり悩みました。姿勢が悪くないようにするにはどうすればいいのか、かなり注意しましたし、体力をつけさせるための食生活と早寝早起き生活を心がけました。また、すぐに泣いてしまう息子を強くするにはどうしたらよいのか悩みました。
自分の子だけが特別に周りになじめないのではないか、1年生なのにできないという事は脳に異常があるのではないか。そんな風に不安に思いました。
結果、この姿勢表は1学期の終わりまで貼り付けられることになりました。
今だから振り返れる 冷静に自分の子を判断するということ
今考えてみると、息子が4年生になって、姿勢で注意されることはなくなりました。また、泣くこともなくなりました。
それは先生の「姿勢の表」のおかげなのか?いや、違うと思います。逆に息子が神経質なタイプじゃなくてよかったと思います。
私だったら、クラスの一部の生徒の机の右上に貼られた姿勢の表を見て「私もみんなと同じになるためにがんばらなくちゃ、なんて自分はダメな奴なんだろう」と自信をなくしてしまったと思います。そして、周りの子たちがいい子で助かったとも思います。姿勢の表を貼られた子がだらしないというレッテルを貼られていじめの元になる可能性もあったのだから。学校の先生は、生徒を一律に並べることに熱心で、そんなリスクを考えてはくれないのだから。
あのとき、私が先生の言う通りに気にし過ぎてしまったことを反省しています。
息子は1年生、タイプからして新しい環境になじめず、緊張して泣いてしまっていたことを理解してあげられなかったこと。幼稚園で女性のかわいらしい先生から体育会系の男性に変わって慣れなかったことも。
親は子供に期待しすぎています。あのときの私にそんな判断はできず、息子の姿勢について先生と同様に叱りつけていたのですから。その場に立つと、冷静に自分の子を判断することなんてできっこないのです。
小学校がもとめる子供とは
それは一言で目立たない問題を起こさない子です。
規律を守り、姿勢よく、人の話をよく聞いている子。
先生に逆らわず、先生の思う通りの行動を起こす子。
日本の小学校は軍隊教育のようです。先生が軍曹でこれに従うことは絶対なのです。
私の友達が2人ほど海外赴任でアメリカの小学校に3年ほど居た子がいますが、話を聞くと日本とは全然違います。とにかく個性を重んじる、隣の子と違って当たりまえ、先生も1個人として生徒と向き合っています。
どちらがいいかというと、私は日本しか経験していないのでわかりませんが、アメリカの学校話はほんとに面白く、大笑いしてしまいます。小学校の正門にはラップが流れていて、みんな踊りながら登校するだとか、授業中に先生がポテトチップスを食べながら教えるとか、トイレの個室が教室内にあってカギがかかっているなど、日本と違い過ぎてびっくりします。
その子がアメリカから帰ってきて日本の小学校に小学校3年生で転校したときはとても苦労していました。娘がネイルをして小学校に行ったら先生に怒られたそうで、それが納得いかないと。また、上履きに履き替えることも嫌だとごねたそうです。
でも、どんな話を聞いても、結局私は日本の小学校で6年を過ごさなくてはなりません。アメリカの小学校がどうであろうと、今の私には直接関係のない話です。また、私立の小学校に通うほど金銭的余裕はありません。
では、どのようにして日本的教育から学ぶべきなのか、次回のテーマは日本の小学校で先生とどう付き合っていくのが得策なのか考えてみます。
本日はここまで。